本当に素晴らしいギターでございます。アントニオ・ディ・マウロ作のジプシーギター、ヴィンテージの持つオーラたるもの半端ではございません。
オールドヴィンテージの勲章、数々のリペアを重ねてGuitarShopTANTANまでよくぞ来てくれました。
当ショップの真骨頂でもあるGypsyGuitarの中でもやはり欠かせないディ・マウロ。
味わい深い大味な作りは当時の歴史的背景までサウンドとして感じることの出来る様な価値ある作品です。
もともと1930年代頃よりマンドリンやギター製作を行っていたアントニオ・ディ・マウロは、セルマーレプリカを製作した工房として最も古い部類になり、Fホールにアーチバックの仕様ではご存知の方も多いと思いますが、こちらは1936年頃にセルマーから発売された14フレットO-valモデル同様のセルマータイプではあるものの、約648㎜スケールにアーチバックを用いたモデル。
スペックとしては、トップスプルースに上品な杢目をしたキルトメイプルサイド&バック。
ナット幅0フレット位置約43.8㎜。プライ製法で作られた特徴的なネックは現在でも非常にコンディション良く保たれております。
ネック形状は当時の面影残るカマボコ型ですが、丸みのある形状ですので、そこまでいかつくは感じません。
内部構造について、ブレーシングは当時ジャンゴが愛した503同様のエンド側最終ブレーシング無しの通称ジャンゴブレーシングとなっております。
現状のコンディションといたしましては、バックに一文字のクラック修理跡がありましたがずいぶん昔の修理と思われまして、特に動く感じではないのでそのままにしております。
ロゼッタやバインディングの修理跡も正直このギターを所有する方にとっては問題ないと思いますが、写真のような現状となり、修理自体すでに落ち着いている為、特にいじる必要はございません。
パーツ類に関しましては、ペグは元々の3連タイプからDRに交換され内側のワッシャーの取付があまり上手ではないようで緩めですが、動作的には非常にスムースに動作してますのでご愛嬌を。
その他、フレット交換済み、ナット・ブリッジやひげもおそらく交換されていると思われます。
テールピースは当時の物かと思われます。サイドのポジションマークは5Fのみ交換されております。
ネック裏の刻印はしっかりとA.Di Mauroと残っているのも好きな方にはそそる逸品ですね。
この個体の素晴らしいところは特にネックコンディションが良い点。現在12F6弦側2.5㎜/1弦側1.9㎜程と素晴らしいネックコンディションとなっております。
現在.010サバレス弦を張っており、非常に弾き易く心地良いテンションで演奏できます。
サウンドはというと、、、動画にて聞いていただいたようにまぁ言うまでもないでしょうが、長い年月をかけて乾ききった箱の何とも言えない抜けの良い泥臭い懐かしい様な味わい深い音。どう頑張っても同じ音を再現できそうにないヴィンテージサウンド。
独特の味わいあるサウンドは分かる方には分かっていただけるでしょう。歴史的背景も楽しみつつグッドコンディションで楽しめるのはなかなか贅沢でございますね。オールドタイムに浸りながらこの個体を是非ご堪能くださいませ。
汎用ギグケース付き。